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クリニック経営 / 診療所経営を取り巻く状況についての考察

クリニック経営、診療所経営において、

にまさる豊かさはないのではないか。

2017年からこれまでご自身でクリニックを開業された女性医師の方々ならびに、お父様もしくはお母様から診療所を承継された女性医師の方々のサポートをさせていただいてきた経験から、強くそう感じるのです。

その一方で、クリニック経営、診療所経営を取り巻く環境は、院長先生の意志とは関係のないところで、数年単位で大きく変わり続けています。

また、実務面でも

・応募してくる人しだいになりがちな人の採用や定着

・会計士さんや税理士さんまかせになりがちな財務状況 など

ご自身のクリニック、ご自身の診療所でありながら、「自分のものではないみたい…。」と、ご自身の感覚を話してくださる院長先生もいらっしゃいます。

ご自身のクリニック、ご自身の診療所でありながら、その経営の主導権が自分にあるとは思えないとしたら…。

私はクリニックや診療所というものは、少々特殊な存在であると考えています。

なぜならば、良くも悪くも、クリニックや診療所は院長先生の分身のような存在になると感じるからです。

つまりクリニック経営の主導権、診療所経営の主導権は、「院長先生ご自身の人生の主導権」とかなり近いものだと思うのです。

そのクリニック経営の主導権、診療所経営の主導権が、ご自身の手元にあるとは思えないとしたら。

ここは早急にその主導権を取り戻すべき部分なのかもしれません。

そうは言ってもどうすればいいかわからない…。

そうおっしゃる院長先生もいらっしゃいますが、心配はありません。

なぜなら今、自分が自分のクリニック診療所の経営の主導権を握れていないと感じていらっしゃる院長先生は少なくありませんが、そう感じることになったきっかけはなんなのでしょう。

例えば、

・応募してくる人しだいになりがちな人の採用や定着

・会計士さんや税理士さんまかせになりがちな財務状況 など

これらはいわゆる「経営」に関する内容です。

ではここで質問です。

大学で「経営」について学んだことがある女性医師の方がどれだけいらっしゃるでしょうか?

私の経験から言わせていただければ、この問いに対する答えは、限りなくゼロに近くなると思います。

それはそうです。

だって、医学部のカリキュラムには「経営」という項目はありませんから。

専門である医学や歯学については、大学で少なくとも6年間、その後も多くの研修や実地で学びを深めてこられていることと思います。

だからこそ、今、ご自身のクリニック、ご自身の診療所を持てる状況になっている。

そう考えてみると、いわゆる「経営」についての分野でもしも困難を感じることがあったとしてもそれは当然のことであり、誰かの能力不足ということにはならないのです。

 

でも…。

ということはクリニック経営や診療所経営の主導権を取り戻すためには、「経営」について学ばなければならないっていうこと…?

その質問に対する答えは「YES」であり、「NO」でもあります。

 

まず、「YES」という答えに関して言えば、僕の経験上、いわゆる医師という職業に就いていらっしゃる方の特性として、「専門家に任せておけば大丈夫」という思考を持つ方が多いと感じます。

これは高度に専門分化された環境でお仕事をする機会が多いからだと思いますし、ほかの人の仕事内容にリスペクトを示すという意味で素晴らしいことだと思います。

(だってどんな人でも自分の仕事をリスペクトされたら力を発揮するものです。)

ただその一方で、この思考は、自分の専門外のことに関しての「私にはわからないから…。」という尻込みの感覚を生み出したりもします。

たとえば、自院のお金の流れについて、その詳細を把握していない院長先生も少なくありませんが、彼女たちのお話を聞いていると、「お金のことはわからないから…。」という言葉が出てくることがあります。

でも、自院のことですからね。

やはりそこは、「わからないから…。」ではなくて多少の勉強はする必要がある。

その意味で、先程の「クリニック経営や診療所経営の主導権を取り戻すためには、「経営」について学ばなければならないっていうこと…?」という質問に対する答えは「YES」です。

その一方で、ではどれだけのことを学ばなければならないかというと、それは大した量ではありません。

大学で6年間も学ぶ必要がある内容ではないのです。

 

なぜなら、今日本にいる女性医師の数は81,139人とされています。
(令和4年度調査による)

その一方で、経営を仕事にしている、いわゆる社長と呼ばれる人の人数は、約367万人です。
(令和3年度調査による。正確には3,674,058人)

個人事業主の方たちも「経営」という行為をしているわけですが、個人事業主さんの人数は、約161万人です。
(令和3年度調査による。正確には1,612,813人)

いわゆる社長と呼ばれる人の人数と、個人事業主の人数を合わせれば、5,286,871人となり、528万人を超えています。

つまり経営とは、これだけ多くの人が取り組んでいる内容なのです。

その内容が高度なものであったとしたら、これだけ多くの人が経営の分野にいるはずがないのです。

とはいえもちろん、すべての経営者さんがうまくいっているわけではありません。

その中で、自院の経営を安定化させようと思うのであれば、やはり適切な内容を、適切な順序で学ぶ必要はあります。

けれどもその量はといえば、医師になるための学びの量とは比べ物にならないほど少ないことは想像に難くないと思います。

ですので、多少の学びは必要ですが、その学びの量は多くない、と知った上で、ぜひ学んでください。

きっと、新しい世界が広がると思います。

きっと、ご自身の可能性も広がると思います。

そう考えると、これは「学び」ではなく、「知的好奇心を満たすための探究」と呼ぶべきものかもしれません。

いずれにしても「少しの学び」、そして「少しの探求」が大きな未来を開いてくれることになると思います。

ぜひ、わくわくしながら、探求してみてください。

そして、クリニック経営、診療所経営の主導権をご自身の手に取り戻してみてください。

ご縁がある方には、その一助となれることを楽しみにしています。

代表者プロフィール

一條仁志(いちじょう・じんし)

1975年 大阪生まれ

京都大学経済学部卒
広島大学附属福山高等学校卒

元・国立大学法人徳島大学
産官学連携センター 客員教授

元・特別認可法人 長岡京市商工会
経営支援事業顧問

複数の旧・東証一部上場企業での勤務を経て、現職。

主な著書に

「事業再生のススメ」

「内部体制最適化の統合的枠組み」

「なぜ、日本人はうまくいくのか? ~ビジネス編~」 など

週刊ダイヤモンド誌、日経情報ストラテジー誌、中部経済新聞、毎日新聞 など掲載多数

結婚2回、離婚1回、3女の父

セミナー情報は、インスタグラムで配信しています。

ご参考書籍のご紹介

弊社代表の書籍の中から、クリニック経営、診療所経営を安定化させるためにお役立ていただけそうな部分を、いくつかご紹介させていただきます。

ひとつでもお役立ていただける部分があれば、とてもうれしいです。

内部体制最適化の統合的枠組み

加藤寛之 / 一條仁志 著

株式会社シーカー出版刊

ISBN:978-4-434-32182-5

定価:1,600円+税

2022年4月まで、東証一部上場企業と呼ばれていた、世間的に広く認知されている規模の企業の中で、業務の目的を達成していくためのノウハウが書かれた本です。

その一方で、本書の258ページでは、東証一部上場企業に勤務していらっしゃる方たちとの対比の中で、医師という職業に就いていらっしゃる方たちの特性についても解説がされています。

【クリニック経営 / 診療所経営ではここを活かす】

~ 医師と呼ばれる職業にまつわる「認識のゆがみ」 ~

まわりの人たちからは「すごいね!」と言われているのに、自分ではそうは思えない。

僕が見てきた感覚から言わせていただくと、医師という職業に就いていらっしゃる方たちの中には、このような感覚を抱えていらっしゃる方が少なくない気がします。

ではなぜそのようなことが起こるのか。

その構造を、医師と似た傾向を持つ「東証一部上場企業にお勤めの方たち」に向けて書かれた本書から読み解いていただけると思います。

ご自身が置かれている状況を俯瞰的に理解する一助としていただければ幸いです。

また、250ページから258ページでは、「医療の現場に携わる方たち」の特性にも触れられていますので、医師会、歯科医師会等でご自身のまわりにいらっしゃる方々に対する理解を深めるためにもご活用いただけるとうれしいです。

事業 再生のススメ

鈴木典行 / 一條仁志 著

株式会社シーカー出版刊

ISBN:978-4-434-32182-5

定価:1,600円+税

名古屋市弁護士会の会頭を務められた弁護士さんと、弊社代表の一條の対談形式で進む書籍です。

立ち位置が不安定な事業や、先行きに不透明感がある事業をどのように再生していくのか?

そのための具体的な考え方と、具体的な手法が書かれています。

【クリニック経営 / 診療所経営ではここを活かす】

~ クリニック経営、診療所経営を『事業』として再認識する ~

クリニック経営も、診療所経営も、それが「事業である」という意味では、他の法人と変わりません。

一方で、自院の先行きに不確かさを抱えている院長先生たちは少なくありません。

そして、その「先行きの不確かさ」の原因が理解されていることもとても少ない、という印象があります。

しかし、クリニック経営や診療所経営を、ひとつの『事業』として捉えると、今まで見えなかったものが見えるようになってくるはずです。

ただし。

自院を例にとると、わかるはずのこともわからなくなりがちです。

その点、本書では世の中一般的に事業を営んでる人たちが、

どのような思考のもとで、

どのような課題を抱えることになりがちなのか。

そこからどのような「先行きの不確かさ」が生まれてくるのか。

について解説されていますので、ご自身が置かれている状況を、俯瞰的に理解するための一助にしていただけると思います。

また、本書の345ページから364ページは、「ご自身の価値がどこにあるのか」を把握しておきたい院長先生には特におすすめです。

なぜ、日本人はうまくいくのか?
~ ビジネス編 ~

七沢賢治 / 一條仁志 著

株式会社文芸社刊

ISBN:978-4-434-32182-5

定価:1,600円+税

IBM等の世界的に名の知られた大手システム開発会社に対して、システムの中身を提供してきた専門家と、弊社代表の一條との対談形式で進む書籍です。

論理がないように見える状況から、いかにして構造を見出し、論理的に対処をしていくことができるようにしていくのか。

研究者的な発想が全体を貫いている書籍です。

クリニック経営や診療所経営に活かす目的であれば、院内でのコミュニケーションの取り方について、具体的な発見をしていただけるかもしれません。

研究者的な発想があちこちに出てくる書籍ですので、医学分野でのご自身の研究内容をより深めていきたいとお考えの方にも、お役立ていただけるかもしれません。

【クリニック経営 / 診療所経営ではここを活かす】

~ 人が他者のことを認識する構造について ~

クリニックや診療所を経営している院長先生とお話をしていると、スタッフさんに対する指示の出し方が難しいというお話や、スタッフさんとのコミュニケーションが難しいというお話をお聞きすることがあります。

院内でのコミュニケーションについては、既に世の中にさまざまなノウハウが出回っていますが、「反発を受けることなく、やりたい行動をとってもらえるようにする」ということを目的にするのであれば、本書の208ページから219ページに書かれている『ワンダウンポジション』の内容がおすすめです。

また、構造的に世の中を理解したいとお考えの方には、人が他者を認識する構造を紐解いた「自己内自己と自己内他者」のお話もおすすめです。

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